社会人が英語の勉強を始めるなら、まずは「何に使いたいか」を一つ決め、単語や文法のどこを忘れているか確かめましょう。そのうえで、短い英文を理解し、音声を聞き、声に出す練習へ進むのが出発点です。教材探しだけで終わらないよう、今日取り組む内容まで決めておきます。

仕事で英文メールを書きたい人と、旅行先で会話を楽しみたい人では、重点を置く練習が違います。この記事では、基礎の戻し方から聞く・話す練習へ進む手順と、無料教材やレッスンの使い分けを紹介します。まとまった時間を取りにくい日の続け方も、一緒に考えていきましょう。

この記事のポイント
  • 目的と現在の力に合わせた学び直し
  • 英文の理解から聞く・話す練習への手順
  • 無料教材と英会話レッスンの使い分け
  • 忙しい日に続ける工夫と上達の振り返り

社会人英語勉強は何から始める?基礎から会話までの進め方

最初に「英語を使いたい場面」を一つ決める

最初に「英語を使いたい場面」を一つ決める

最初に決めたいのは、使う教材よりも英語を使う場面です。「英語ができるようになりたい」から、仕事のメール、旅行先の買い物、日常の会話などへ、目的をもう一段具体的にします。NOVAの学習ガイドでも、目的に合わせて練習の重点を変える考え方を示しています。

当面の目的優先したい勉強最初に絞る範囲
旅行先でやり取りしたい定型表現とリスニング買い物など、使う場面の会話
仕事で英語を使いたい業務で必要な表現と技能メール・会議・電話など、直近で必要な場面
資格試験の目標を達成したい試験の出題・配点に沿う対策受ける試験で問われる内容
学生時代の英語を学び直したい基礎単語と中学英文法忘れている単元や表現

仕事が目的でも、すべてのビジネス英語を一度に始める必要はありません。メールが課題なら書く練習を、会話が目的なら聞く・話す練習を厚くします。同じ社会人でも、優先順位はそれぞれ。今いちばん困っている場面から選んでみてください。

私自身、普通の英会話ができるようになりたい気持ちは、以前からありました。ただ、「なんとなく話したい」だけでなく、海外で暮らしたい、旅行先でもっとコミュニケーションを取りたい、といった動機があるかどうかが、続けるうえで大切だと思っています。

立派な目標でなくても、自分が英語を使いたい理由を言葉にしてみましょう。

初心者は中学英語の抜けを確かめ、単語と文法を並行する

「英語を全部忘れてしまった」と感じるときも、まずは分からない場所を切り分けます。確認したいのは、be動詞と一般動詞の使い分け、現在・過去・未来の時制、主語・動詞・目的語の語順など。NOVAは、こうした中学英語の基礎に自信があるかを、学習の出発点を見分ける観点に挙げています。

復習は、単語をすべて覚えてから文法へ進む形にしなくても大丈夫です。文法の土台と基礎単語を並行して学び直す方法が紹介されています。たとえば、教材の短い英文で知らない単語を確かめながら、その文の時制や語順も見る進め方。単語の意味と文の組み立てを、同じ英文の中で結び付けていきます。

読むときに文法が分からなくなるなら、その単元へ戻る。一方、文の意味は分かるのに音声になると聞き取れないなら、聞く練習も必要です。「初心者だから最初から全部」と決めず、理解できる部分とつまずく部分を分けましょう。現在地を確かめてから復習する範囲を選ぶ、という順番です。

基礎固めの間も、自然な会話の音に触れることはできます。IIBCの「日常英会話トレーニング」は、基本文法・基礎単語の復習と、自然な英語に慣れる練習を併せて案内しています。文法の復習だけで学習を終えず、意味を理解した英文を聞くところまでつなげてみてください。

聞き取れないときは英文と日本語訳を使い、音読へ進む

聞き取れないときは英文と日本語訳を使い、音読へ進む

聞き取れない音声を使うときは、英文や日本語訳を頼って構いません。IIBCの日常英会話トレーニングでは、書店での会話についての2問に答え、その正解数に応じて練習方法を選べます。以下は、そのページ内のチェックに対応した進め方です。

ページ内のチェック結果案内されている練習の流れ
0問正解・入門レベル先に英文と日本語訳を確認し、文字を見ながら音の変化を確かめる。音声を3〜5回繰り返し聞く
1問正解・初級レベル音声で理解できなかった箇所を確認し、英文と日本語訳を見る。英文を3〜5回音読した後、再び聞く
2問正解・初中級レベル英文を見ながら音声と同時に話し、音声を止めて繰り返す練習も行う。慣れたら単語の一部を変えて話す

ほとんど内容が分からなかった人は、まず英文と訳で何の話かを確認するところから。聞きながら分からない箇所を文字で確かめ、同じ会話を繰り返します。最初から文字を隠す必要はありません。内容が分かってきたら、音読後にもう一度音声を聞く練習へ進めます。

少し慣れてきたら、聞こえた英文を声に出すだけでなく、一部の単語を自分の話に合わせて変える段階へ。IIBCでも、初中級向けにこの練習を紹介しています。音をまねる練習から、自分が伝えたい内容を組み立てる練習へつなぐ形です。上の正解数は、この教材の取り組み方を選ぶ目安として使いましょう。

独学でも、相手を想像した一人会話から話す練習を始める

英会話の相手がすぐに見つからなくても、声に出す練習は始められます。IIBC掲載のインタビューでは、相手が目の前にいると想像して架空の会話をする「エア会話」が紹介されています。質問されたときにどう答えるか、頭の中で考えるだけでなく、実際に口に出す方法です。

たとえば「夏休みは何をするのですか?」と聞かれたつもりで、自分の予定を答えてみます。言いたいのに出てこない言葉があれば、その場で調べる。会話の文脈の中で語彙を覚える練習として、同インタビューで勧められている進め方です。教材で覚える単語とは別に、自分の話をするときに足りない言葉にも目を向けられます。

会話を組み立てるのが難しければ、身の回りに見えるものを英語で言う方法もあります。駅、切符、改札、電車などを言葉にしていく「実況中継」です。長い文章にしようとせず、簡単な単語から。知っているはずなのに思い出せない言葉を、実際に取り出してみる練習になります。

ただ、一人で話すことと、誰かに伝えて訂正を受けることは、それぞれ役割が違います。ブリティッシュ・カウンシルも、話す練習では他の学習者との会話や、間違いを直し改善方法を助言する教師の存在を挙げています。まず自分で発話する時間を作り、訂正を受けたい部分は対話の機会で補う、と考えましょう。

社会人英語勉強を続けるには?教材・時間・学び方の選び方

教材は目的と難易度で選び、無料の学習サイトも活用する

教材選びでは、人気だけでなく「今の自分が取り組める難易度か」「使いたい場面につながるか」を見ます。NOVAは、現在のレベルと目的を軸に、一つずつ教材を選ぶ考え方を示しています。基礎を確かめたい段階なら、まず無料教材で取り組みやすさを試す方法もあります。

具体的な候補の一つが、ブリティッシュ・カウンシルの大人向け学習サイト「LearnEnglish」です。公式FAQによると、サイト内の学習教材は無料で、教材にアクセスするためのアカウントは不要。レベル別に文章・音声・動画が用意され、練習問題で理解を確かめられます。

学びたい内容LearnEnglishの該当セクション
文法を復習したいGrammar:初心者向けからのレベル別教材や、品詞ごとの参照用解説
単語を音と一緒に覚えたいVocabulary:音声を聞き、画面上で回答するレベル別教材
聞く・読む・書く・話す練習を選びたいSkills:4技能それぞれの学習教材
仕事で使う英語を学びたいBusiness English:メールの書き方など、仕事に関係する素材

レベルが分からない場合、18歳以上なら無料アカウントを作り、オンラインのレベルテストを受ける方法もあります。結果は英語力のおおよその目安で、教材選びの参考にするものです。なお、LearnEnglishの無料教材は、決まった学習順序に沿うコースではありません。

自分で適した教材を選ぶ必要があり、無料教材での進捗追跡機能もないため、取り組んだ内容は別に記録しておくとよいでしょう。

あわせて読みたい英語の勉強方法|初心者・社会人が独学で進める順番と続け方英語の勉強方法に迷う大人・社会人へ。目的と現在のレベルに合う始め方、単語・文法の復習、聞く・話す・読む・書く練習、教材選びと毎日続ける工夫を具体的に解説します。

忙しい日は短い学習を生活に結び付け、続いてから時間を増やす

忙しい日は短い学習を生活に結び付け、続いてから時間を増やす

1日に何分勉強するかは、まず習慣を作るための時間と、目標に向けて積み上げる学習量を分けて考えます。IIBC掲載のインタビューでは、手始めに2週間、1日5分続け、できたら10分、15分と増やす案が紹介されています。5分は、英語の習得に十分な時間という意味ではありません。

最初の取り組みを生活に入れるための、小さな出発点です。

「空いたらやる」より、始めるきっかけを決めておきましょう。同インタビューには、朝食後にコーヒーを飲んだらスマートフォンで学習する例があります。また、IIBCの学習コラムでは、通勤や待ち時間などの細切れ時間を使う考え方を紹介しています。机に向かえる夜だけを、勉強時間にしなくてもよいのです。

たとえば、通勤では英文を見ながら音声を聞き、声を出せる自宅では同じ英文を音読する、という組み合わせが考えられます。これは、細切れ時間の活用とIIBCの音読手順を組み合わせた学習例です。外出先と自宅で教材を別々に増やすより、聞いた英文の続きを家で練習する形で始めてみましょう。

2週間やっても続かなければ、時間を増やす前にやり方を見直します。IIBC掲載のインタビューでは、最初から難しいニュース番組を選ぶと、理解できず意欲が下がる場合もあると説明しています。教材の難しさを下げる、短い時間に戻す、始めるきっかけを変える。

挫折した分を取り返そうと予定を詰めるより、再び取り組める形を探してください。

独学とレッスンは、知識の復習と訂正を受ける会話で使い分ける

独学かスクールかで迷ったら、学習全体をどちらか一方にそろえる必要はありません。NOVAは、単語・文法・読解は独学で取り組み、訂正を受ける発話をスクールで補う役割分担を示しています。自分で計画を立てて続けられる部分は独学に任せ、助けが必要な部分にレッスンを使う考え方です。

とくに考えたいのは、話す機会と、間違いを直してもらう機会を用意できるかどうか。ブリティッシュ・カウンシルのFAQも、話す力の実践には他の学習者との会話や、訂正と助言を行う教師を挙げています。一人会話は始められても、通じ方や発音について助言が欲しいなら、そこがレッスンで補う候補になります。

私も10年くらい前、オンラインで海外の人とつながる英会話サービスを試しました。実際に話したのは1〜2回。楽しかったものの、時間を合わせる必要があったこと、慣れていなかったこと、少し恥ずかしかったこともあり、続きませんでした。

会話の機会があるかに加え、今の生活の中で参加できるかも、選ぶときに考えたいところです。

選ぶ際は、料金だけでなく、通いやすさ、レッスン形式、継続を助けるサポートも比べましょう。NOVAの比較軸にも、こうした項目が挙げられています。対面かオンラインかという形式だけで結論を出さず、自分が参加できる時間帯と、受けたい会話練習が合うかを見ることが大切です。

あわせて読みたい独学で英語を話せるようになるには?初心者の練習手順と続け方独学で英語を話せるようになるには、単語や文法の復習と発話練習をつなげることが大切です。初心者の始め方、音声のまね方、独り言と録音、無料教材の選び方、学習期間の考え方を紹介します。

上達までの期間を決めつけず、できたことを記録して振り返る

上達までの期間を決めつけず、できたことを記録して振り返る

「何か月で英語ができるようになるか」は、一律には決められません。ケンブリッジ英語検定の学習時間に関する案内では、学習歴、学習の密度、年齢、授業外で英語を学んだり触れたりする量などが、上達に必要な時間へ影響すると説明しています。

同案内は、語学力の段階を表すCEFRで次のレベルへ進む目安を、約200時間の指導付き学習としています。ただし、授業や監督下の学習についての概算で、個人によって必要な時間や支援は異なります。日本の社会人が独学で同じ時間を使えば、必ず特定の会話力に達するという保証にはできません。

長期の到達目標とは別に、日々の学習では取り組んだ内容と、その場で確かめられた変化を残しましょう。NOVAは、学習時間、覚えた表現、レッスンで直された点などを軽く記録する方法を紹介しています。時間の記録だけで終わらせず、何を練習したかも書いておくと、次に戻る内容が分かります。

  • 聞く練習:英文と訳を確認した後、再び聞いて理解できた箇所
  • 話す練習:一人会話で出てこず、調べた言葉
  • レッスン:訂正された点と、覚えておきたい表現
  • 学習習慣:取り組めた時間と、続けられた生活のきっかけ

今日の一歩を決めるなら、使いたい場面を一つ選び、取り組めそうな短い英文と音声を開くところから。内容を確かめて聞き、できる範囲で声に出し、分かったことを一つ残します。大きな到達目標だけで自分を採点せず、次の学習へつながる小さな記録を積み重ねていきましょう。

社会人英語勉強の始め方と続け方まとめ

この記事のまとめです。

  • 最初に英語を使いたい場面を一つ決め、仕事・旅行・資格などの目的に合わせて練習の重点を選ぶ
  • 学び直しでは、中学英語のどこにつまずくかを確かめ、基礎単語と文法を並行して復習する
  • 聞き取りが難しい段階では、英文と日本語訳を使い、内容と音を確かめながら繰り返す
  • 音読後に再び聞く練習を行い、慣れたら英文の一部を自分の話に合わせて変える
  • 独学でも、相手を想像した一人会話や、身の回りのものを英語で言う練習から発話を始められる
  • LearnEnglishの学習教材は無料でアカウント不要。レベルテストの利用には、18歳以上向けの無料アカウントが必要
  • 1日5分を2週間続ける案は習慣作りの出発点。続けられてから時間を増やし、習得に十分な学習量とは分けて考える
  • 通勤や朝食後などに学習を結び付け、続かなければ時間や教材、始めるきっかけを見直す
  • 単語・文法などは独学で進め、訂正を受ける会話の機会をレッスンで補う使い分けができる
  • 上達までの期間には個人差があるため、学習時間に加え、理解できた箇所や覚えた表現も記録して振り返る
参考にした情報